2014年2月27日木曜日

日本人はなぜ存在するか

與那覇潤 2013 集英社インターナショナル

面白く,分かりやすく,読みやすく,内容も一貫していて,あっという間に読了。主には,社会学における「再帰性」という概念(あらゆる制度や概念や言説などはすべて,任意に作られた共同幻想だといったような考え。本書では「共同幻想」とは言ってないけど,たぶんだいたいそんな感じ)で,「日本」にまつわる話を分解しています。ここでいう「再帰性」は,だから,何も新しい考えではなくて,共同幻想であり,言語ゲームであり,社会的構成主義であり,ナラティブであり,色即是空空即是色であり,といった具合にいろんな形で語られていますから,本書が何か独創的で新鮮なことを言っているわけではありませんが,特には「日本」に焦点化して一つ一つ丁寧に説明的に議論していて,「なるほどなぁ」「そうだよねぇ」「たしかになぁ」と面白く読めました。本書が,大学における教養科目の講義録をベースに作られている点からも,その分かりやすい説明的な流れが非常に納得できる,良い構成になってます。こういう教養科目を受けられる,愛知県立大学の学生は,幸せです。

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