2015年12月24日木曜日

現実を生きるサル 空想を語るヒト:人間と動物をへだてる,たった2つの違い

トーマス・ズデンドルフ(著) 寺町朋子(訳) 2015 白揚社

2つの違いとは,ヒトが心の時間旅行(メンタルタイムトラベル)することと,他者の心を読むこと(心の理論),という話。どこかで聞いたことのある話だと思ったら,やはり,著者のズデンドルフは,マイケル・コーバリスの直弟子でした。コーバリスのThe Recursive Mindと,基本的には同じことを主張していますので,そのアップデート版だという位置づけでしょうか。

訳は,とても読み易い日本語です。だから,翻訳物でよくありがちな,読んでいてその日本語が分からんよ,ということはない。著者は研究者らしく,地道に知見を積み重ねて結論(暫定的な結論)を導こうとする点,好感が持てます。ただ,読み物(一般啓蒙書)としては,少々,ロジックがくどいかもしれない。要点をまとめれば,半分ぐらいになりそうな気もしないでもない。つまり,この手の話に,読者がどこまで詳しいエビデンスを求めているかに依存すると思いました。

でも,良書です。ヒト(人間)の基本的な心のスペックはどんな具合かを知る上で,勉強になります。

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