2015年12月4日金曜日

憎悪の広告:右派系オピニオン誌「愛国」「嫌中・嫌韓」の系譜

能川元一・早川タダノリ 2015 合同出版株式会社

右派論壇誌(右派系オピニオン誌)の新聞広告(中吊り広告)に出ている見出しを元に,近年の右派思想を分析する,という趣旨の本。

いやしかし,普段,確かに新聞の下段に出ている広告だとか,電車の中吊り広告で,見掛けるには見掛けるけれど,それほどちゃんと見出しの文字を追ったこともなかったし,ましてや買って読むこともないし,どういう類の雑誌なのか詳しく知らなかったのですが,こういう雑誌が刊行(主に月刊誌?),それも複数刊行されていて,その中身がどういうものなのか,この本を読んでとてもよく分かりました。

ただ,この本の難を言えば,せっかくなるほどと思える面白い分析をしているのに,分析対象である広告そのものも文字情報だし,本文は当然文字情報だし,さらに広告の説明も細かい文字情報だしで,構成上,目に入ってくる情報が過多な感じがどうしても否めません。また,本文と,その本文が示している広告の図の掲載位置が近かったり遠かったりで,それも読みにくさを助長しています。であるからこそ,もう少し丁寧に,広告の文字を細かく追わなくても,本文を読むだけで楽しめるようになっていたら良かったなと,思いました。(あるいは,1つの広告で,見開き1ページあるいは2ページ構成にする,とか)

あと,なんというか,全部で13章に分かれていますが,各章テーマに違いはあれ,分析(ツッコミ)のパタンが一本調子なので,それもまたちょっと単調で重たい気がしました。

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