2014年12月19日金曜日

日本人の身体

安田登 2014 ちくま新書

能楽師でありロルファーである安田登氏の日本人論。「日本人の身体」というタイトルなので身体の話かと思いましたが,全体としては,身体論というより日本人論,さらにいえば「昔の日本人」論と言って良いくらいの広い内容です。それを『古事記』や『聖書』などを手がかりに浮き彫りにしていこうという展開。ざっくりと結論づければ,日本人はもともと,あいまいで境界のないぼんやりとして寛容でおおまかな(身体)感覚を持っていたけれど,近代の西洋化によってそうではなくなってしまった,という主張です。著者の安田氏本人も,書いている内に考えがどんどん広がった,とあるようにとにかく話はあちこちに飛びます。ただ,もともと能楽師になる前は漢語辞典の編集に携わるなど,漢字の専門家だそうなので,語源や起源となる象形文字からの説明がよく出てきます。まぁしかし,この方,とにかく博学,博覧強記です。しかもロルファーだし。

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